ストレスがなければ私たちはおそらく今ここにいないでしょう。聞いた話ですが、亡くなる前の人は穏やかな表情をしているそうです。天寿を全うして自分の死を悟った方はもしかするとストレスゼロの状態だったかもしれません。つまり、生きようとする本能や欲求に対して起きるストレス反応が人間を進化させ、生きるためには必要不可欠な存在だということです。
ストレスは経験から記憶を呼び起こすシステム
ストレスは人間関係のトラブルや身体的なもの、また長期的なものや突発的なものまで大小様々で、さらにそれに伴う体の痛みや倦怠感、精神への影響も人それぞれですが、人間にもともと備わった、基本的なストレス反応とは、「危険に集中する」「反応を起こす」「将来のために経験を記録する」という3つの働きに絞ることが出来ます。
人間がまだ、狩猟民族で身の回りには危険な生き物がうじゃうじゃいて、獲物を狙いながらも、周囲に注意を払わなくてはいけないという状況から備わったのが、ストレス反応であり、「闘うか逃げるか」の判断のために3つの働きが起こるようになったのです。例えばシカなら獲物として捕まえる、ライオンなら逃げるという判断を経験から学び、遭遇した時に記憶を呼び起こし、反応するということです。
ストレスはイメージするだけで反応する
ストレスは闘うか逃げるかといった生存に係わる状況で、強い感情を受けた時に心身が反応しますが、実際に命に危険はなくてもストレス反応は起こります。例えば宝くじが当たることも、好きな人とデートすることも、お金の支払いにしても、感情が動けば、身体は同じように反応するということです。
また私たちは実際に起こっていない状況でもストレスを感じてしまうことがあります。人間に携わった危険を記録する、予測する、概念化するといった能力が日常生活を複雑にし、特にネガティブ、マイナスな状況をイメージするだけでストレス反応を起こしてしまいます。現代人が抱えるのはこのネガティブ、マイナスな記憶や予測のイメージによるものがほとんどだと言えるのではないでしょうか。
やっかいなのは感じる必要のないストレスを感じること
ストレスが闘うか逃げるか、いわゆる「闘争、逃走反応」動くためのシステムならば、動くことで解消できるはずですが、仕事の会議で緊張したり、上司や先輩にプレッシャーをかけられたりといった状況で、実際に走って逃げることも、ましてやドロップキックを喰らわせることも出来ません。
ストレス反応が出ても、逃げることも闘うことも出来ず、耐えるしかないというのがほとんどではないでしょうか。こんなときこそ捉え方を変えなくてはなりません。実際に身の危険が迫っているわけではないということです。緊張や不安感、嫌悪感もあなたの中の記憶や予測のイメージによって作られたものです。
まとめ~ストレスは溜めるものではなく使うもの~
失敗するかもしれない、どうせ無理だといった、過度なネガティブ、マイナスな思考が良くないのは、ストレスをため込んで、身動きできなくなってしまうところにあります。本来ストレスとは闘うか逃げるかの反応であり、動くために必要な身体のシステムです。つまり、ストレスは、ピンチを乗り切るために、チャレンジのために使うものであり、使うことで鍛えられるものだということです。
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