瞑想に入る前に姿勢を整えたら次は呼吸を整えていきます。なぜ瞑想には呼吸を整える必要があるのか。それは呼吸に注目することが、今の自分の体と心の状態を確認できるからです。マインドフルネスは今この瞬間に意識を向け「気づき」の力を鍛えていきますが、いきなり思考や感情に目を向けましょうと言われても難しいと思います。
そこで、自分の呼吸に意識を向けていきます。例えば、イライラして息が荒くなっているということに無自覚な状態で、自分の呼吸の速さ、荒さにあえて目を向けると「息が乱れているなぁ、そうか今イライラしているのか」と気づくことが出来ます。
つまり、体の変化に注意を向けることで心の状態を知るということになります。イライラしているときにそんな冷静でいられるのかと疑問に思われるかもしれませんが、客観的に自分を見つめる力を鍛えていくことが瞑想の目的でもあります。
深いリラックス効果が得られる
呼吸を整えると自律神経が整い深いリラックスをもたらすことが出来ます。自律神経は自分の意志で整えることは出来ません。ですが、酸素の供給、排出、血液の循環、心臓や肺をはじめ各臓器の活動のコントロール、体温調節など、生命活動に係わる一切を担っています。唯一自分の意志で働きかけられるのが呼吸です。
肺は自分で動かすことは出来ませんが、肺の膨張、収縮は横隔膜など、意志で動かせる筋肉によってコントロールできます。呼吸をゆっくり深くリズミカルに行うことで、自律神経に効果的に働きかけ、バランスが整いリラックスできるというわけです。
思考の暴走を呼吸で静める
呼吸に無自覚でいるときは、いろんな思考や感情が湧いて脳は暴走している状態です。例えるなら川が氾濫してあなたは、その中でもがいているようなものです。「イライラするなぁ、お腹減ったなぁ、買いたいものがあったんだけどなぁ、明日の資料何とかしなくちゃ」このようにいっぺんにいろんな思考が流れては消えてを繰り返しています。
そこで、まず呼吸を整えることによって、川の氾濫を静め穏やかな状態にします。あなたは川から出て、川の流れをただ眺めます。それが呼吸に意識を向け湧いてきた思考や感情を客観的に見つめるということです。呼吸に意識を向けることは、自分と思考や感情とは別なのだと気づく第一歩なのです。
呼吸は心の変化を表す
呼吸は生まれてから死ぬまで止まることはありません。ですが、常に一定というわけでもありません。心が乱れていれば息も乱れますし、リラックスした状態であれば、深くゆっくりとしたリズミカルなものにもなります。
つまり、一番身近で、いつでも感じることが出来、心の変化を知るうえで呼吸以上に適したものはないということです。呼吸を整え自分がリラックスしているときを大切に感じ取ることが出来れば、「これが一番落ち着ける呼吸なんだなぁ」と知ることが出来ます。
リラックスしているときの呼吸を知ることが出来れば、息が荒いときの心の変化にも敏感に察知することが出来、そこから息を整えることで、落ち着いた状態を意図的に作ることも出来るようになります。つまり呼吸に意識を向け、整えることは自分の心の平常の基準を知るということです。
呼吸は心地いいと感じることが一番大切
マインドフルネスでは腹式呼吸で、鼻から吸って、鼻から出すのが基本ですが、「心地いい」と感じられることが一番大切です。鼻から吐くのが苦しいと感じれば口から空気を、ゆっくり時間をかけて吐いてもいいでしょうですが口から吸うのはおすすめできません。口では十分空気を吸えませんし、のどにも良くないので、吸うときは鼻から行いましょう。
腹式呼吸を行うのには大きな理由として、丹田を意識することにあります。丹田(下丹田)は、男性はおへその約9センチ下、仙骨の前あたりにあり、女性は子宮にあります丹田に意識を集中することで、より集中力ややる気、活力が高まると言われています。
また、呼吸する際、大地、宇宙、すべてに広がっているエネルギーを丹田に集め、そこから体の隅々に充満させるようなイメージで行います。ばかばかしく感じられても、瞑想はこのようなイメージを持つことが大変重要です。
まとめ~呼吸に意識することは「気づき」の第一歩~
普段意識せずに行っている呼吸にいざ意識を向けると、いかに浅い呼吸を無自覚に行っていたということに気がつくのではないでしょうか。ですが、この「気づき」がマインドフルネスの第一歩です。また1分行ってみても、呼吸に注意を向け続けるというこが難しいと感じるかもしれません。
それほど私たちは今この瞬間に心をとどめるというのが苦手だということにも気づくのではないでしょうか。姿勢を正し、呼吸を整えることはマインドフルに生きるための最初の気づきをもたらしてくれます。
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